3月22日、国土交通省が2023年公示地価を発表しました。
結論からいえば、地価は2年連続の上昇。上昇率は、昨年以上に拡大しました。今回は、さくら事務所の会長で不動産コンサルタントの長嶋修さんの解説を交えながら、2023年公示地価を読み解いていきます。
2023年1月1日時点の公示地価は、全用途平均で1.6%上昇しました。上昇は、2年連続のこと。コロナ禍で弱含みだった地価の回復傾向が顕著となっています。
国土交通省によれば、住宅地・商業地の特徴は以下の通りです。
全国平均が1.6%上昇したとはいえ、各地によって上昇率には差があります。そしてもちろん、地価が下落したエリアもあります。
上昇率上位トップ10を占めるのは、全て北海道の地域です。この理由について、長嶋さんは次のように考察します。
「トップ10には北海道北広島市周辺がズラリ。『北海道ボールパークFビレッジ』の開発により利便性向上や人流期待などが要因だと考えられます」(長嶋さん)
一方、下落率のトップにも北海道の多くの地域がランクイン。この理由は、どこにあるのでしょうか?
「圧倒的な少子化・高齢化と人口減少といったトレンドには抗えない地域では、衰退の一途をたどっているのでしょう。北海道は二極化が顕著ですが、観光地でも同様のことがいえます。例えば、京都や金沢、熱海など人気の観光地では地価が上昇トレンドを描いていますが、日光・鬼怒川などは長らく下落トレンドにあり、回復の兆しは見られません」(長嶋さん)
北海道に見られるように、各地ともに上昇したエリアもあれば横ばいや下落したエリアもあります。三大都市圏では、地価が上昇したエリアは7割を超えていますが、地方圏は4割。逆に、下落した地点の割合のほうが勝っています。
「『日本全国』『都道府県』といった各カテゴリで、フラクタルに三極化が発生しているのが実情です。1990年バブル当時、日本の土地資産額はおよそ2,000兆円でしたが、今では半減の約1,000兆円。人口減少がピークを迎えるとされる2050年頃までは『価値が落ちない・落ちにくいエリア』『ならだかに下落するエリア』『限りなく無価値になっていくエリア』の三極化はますます鮮明になっていくでしょう」(長嶋さん)
2023年公示地価では、コロナ禍からの回復傾向が見られました。しかし、全てのエリアで地価が上昇したわけではなく、逆に下落し続けているエリアもあります。
長嶋さんによれば、市場の三極化は今後ますます鮮明になっていくとのこと。公示地価は、あくまで前年比の上昇率・下落率を表したものであり、上昇率の平均値だけでは見えないこともあります。
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